「めまい」とは身体の平衡がうまく保持できなくなる状態をいいます。立ちくらみ、ショックでスーッと意識が遠のくのは、「めまい」ではなくて一時的脳循環不全です。身体の平衡は眼、耳(三半規管)、筋肉などにある末梢からの感覚情報を頭にあるセンターでまとめてコントロールしているのです。いずれにしろその障害の起きる場所が中枢(脳)に近づく程、たちの悪いめまいになることは理解できますね。ここで一般の方に対してお話するので例外的なことには少々目をつぶり、極めて大まかな流れで述べますがお許し下さい。
さて実際、「めまい」が起きると皆様どうしますか?急な激しいめまいに嘔吐を伴ったりしますと・・・「アーアー遂に頭に来たか」と動揺し⇒救急車⇒脳外科病院へ、が一般的コースらしいのですが・・・で、そういうコースを経験された方やそれに関係した方にお尋ねします。病院で諸検査、あるいは入院治療まで受けたかもしれませんが結果はどうでした? 殆んどの場合脳には何も所見もなく、生命に関する病態へと発展することもなく「事件」は終息し、更に多くの場合原因すらはっきりしないまま元気に今日に至っているのではないでしょうか。「CTを撮ってなんでもないと言われてもねえ、じゃぁ私のめまいはどうして起きたの?再発しますか?心配なめまいなのでしょうか?」・・・とすっきりしませんなあ。・・・でも「元気になったからマいいか・・・」と言ったところですか。でも原因は必ずあるわけで「元気になったからイイヤ」とは参りませんよ。第一、原因が判らなくてどうして「原因へせまる治療」に進めますか。しかし上に述べた「経過」がまかり通っているのも事実です。そして、嘔吐を伴った激しいめまいが生死につながる騒ぎになることは殆んどないのもまた事実なのです。意外でしょう・・・・。
めまいは大きく分けると「回転性めまい」と「動揺性めまい」の二つになります。前者は回転椅子で回されたあとに起こる・・・部屋が回るような感じ・・・一方向性のめまいであり、後者は、やわらかいベットに立つような、酔っ払いの歩行のような・・・方向不定性のめまいです。
さて、「回転性めまい」「動揺性めまい」はどうして起こるのでしょう。ちょっと理屈を申しますと前者の多くは末梢性(耳・三半規管など)が多く、後者では中枢性(大・小脳、脊髄など)に多く見られます。なぜなら末梢性においては左・右同時に障害される可能性は少なく・・・例えば、中耳炎、外傷、メニエール氏病など・・・ですから病変箇所がかたより、従って一方向にめまい・・・回転性が生じやすくなります。中枢性では左右同時に障害されやすく・・・飲酒・薬物中毒・梅毒など・・・方向不定のフラフラ型のめまいになります。
めまいが「コワイめまい」か否かはめまいの原因が末梢(耳系)などにあるか中枢(脳系)にあ るかが重要で、めまいの激しさはあまり重要ではありません。極めて乱暴な表現で述べれば以上から・・・「ぐるぐるめまい」→心配少ない。「フラフラめまい」→心配多い。「急激めまい」→心配少ない。慢性めまい→問題あり。となります。めまいについてチョー簡単に述べましたが、最後にこれだけはどうしても憶えておいて頂きたいことがあります。それは【どちらの型のめまいであろうとめまいに激しい頭痛を伴なった時には救急車ですヨ】・・・脳出血など頭の中で重大な病変が起きてる可能性があります。
よろしいですか、めまい+頭痛=心配です。
おわりに:めまいはまず耳鼻科に来てください。それが正しい診察の順序です。耳鼻科で原因精査を行った上で何処の科へ向かうべきか判断できますと、治療の近道でもあり経済的にもプラスです。